【楽天－ソフトバンク】圧巻の投球で田中がプロ野球新記録を打ち立てた＝Ｋスタ宮城（中井誠撮影）（写真：産経新聞）

　前人未到の大記録も楽天の田中にかかれば、もはや必然の結果だった。勝てばプロ野球新記録の大一番で７回無失点。開幕１６連勝をなんなく達成して球史に名を刻むと、照れながらウイニングボールを大事そうにポケットにしまった。

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序盤はスプリットを多投したが、ピンチの場面で最大限の力を発揮する能力は健在だった。象徴的だったのは七回。１死三塁から、後続の打者を１５４キロの直球で凡退に仕留めた。「自分なりに工夫して、投球にメリハリをつけるようにしている」と田中。その言葉を、文字通り投球で体現してみせた。

この日の登板には、ある“約束”もあった。２日の日本ハム戦（札幌ドーム）で開幕１５連勝を飾り、斉藤和巳（ソフトバンク）らが持つプロ野球記録に並んだが、その斉藤は７月末に現役復帰断念を表明。直後に田中があいさつの電話を入れると「俺の記録を絶対抜いてくれ」と激励されたという。「和巳さん（斉藤）との約束を果たせたことが何よりうれしい」と笑みがこぼれた。

これで昨年８月から続く自身の連勝記録も２０とし、稲尾（西鉄）らに並んだ。「みんなの力なので、みなさんに感謝している。個人の記録のためにやっているわけではない」と受け流したが、さらなる記録更新も“平成の鉄腕”なら、決して夢物語ではない。（浅野英介）

大記録の影には、同じく一時代を築いた大投手との約束がありました。
スポーツマンとして、また男同士の友情もあり素晴らしい記録だと思います。